今年の運気は戊(つちのえ)子、火運大過、少陰司天、陽明在泉といいます。
火運大過は炎暑がほしいままに行き渡って、自然界では金気がおかされ、人体では肺臓が病邪を受け、人々は瘧を病んで、悪寒と発熱の発作を繰り返し、呼吸が浅く、咳がでて息があらく、目・口・鼻から出血し、陰部の前後からも血をくだし、のどが渇き、耳が聞こえにくく、体の内部に熱をもち、背や肩が熱をおびる、などの症状を起こしやすいのです。これらのとき天空では、火星が輝いて、火気が強いことを示しています。
はなはだしくなりますと、胸の中が痛み、両脇が下からつっぱられるように張り、胸・背・肩・胛などが痛み、上腕の内側が痛み、体が熱を持ち、骨のふしぶしが痛み、また、丹毒ようの皮膚の炎症を起こしやすいのです。
自然界では、夏の成長のはたらきだけが旺盛となり、草木の茎や葉はどんどん伸びます。
しかし、秋の収斂の気が不足しますので実りません。雨が降り、霜が早くおり、寒気が強くなります。
このとき天空では、水星が輝いて水気が強くなっていることを現しています。
もし、そのうえ、少陰司天・少陽司天の年ですと、炎暑の気が強烈で、水分は不足し、泉もかれて、万物ことごとく焦がれ、枯れたようになることが多いものです。
病人は反対に、陽明経脈に邪気が実したときのようでうわ言を言ったり、気が狂ったようになり、また、咳が出て息があらく、ゼロゼロと喉がなり、もし、病邪がさがると体の上・下の孔(目、口、鼻、肛門、陰部)から血が出てとまらないようになります。
このとき天空では、火星が輝いて、火気が強いことを示しています。
少陰司天の年は少陰の熱気が下界に君臨し、人体の肺気はこれに屈従します。
たとえ、金運大過の年で、涼気が盛んに作用して、木気に禍(災い)を及ぼしたとしても、すぐに少陰の熱気が大暑を流行させます。このとき人々は肺気がおかされ、ぜいぜいと息が荒くなる。
嘔吐・悪寒発熱・くしゃみ・鼻づまり・鼻血などの症状をおこす病にかかりやすいのです。
はなはだしい場合は、天の熱気が強く金石をも溶かすほどであり、このときはかさ、くさ、などの皮膚病にかかりやすいのです。
とにかく今年は心臓と貧血に気をつけましょう。
平成20年1月吉日 ケンコウ薬局