妊娠初期のつわりのことを考えてみたいと思います。
妊娠するとまず初めに起こるつわりの状態を
東洋医学の原典である傷寒雑病論に次のように書かれています.
「師曰婦人得平脈陰脈小弱其人渇不能食無寒熱名妊娠桂枝湯主之於法六十日当有此証設有医治逆者却一月加吐下者絶之」とあります.
その意味は「師が言われるには,婦人の脈状が普段と変わりなく,
ただ尺中の脈が少し弱くのどが乾いて
食べることが出来ず別に悪寒も発熱の状態もないものを妊娠と名づけるのである.
妊娠をすると表虚になり易いので,桂枝湯が主治するのである.
妊娠した場合には,原則として六十日たつとこの症が現れるはずである.
もし妊娠して三十日以内に治療に誤りがあって吐下をさせると
六十日たっても妊娠の症を現さないのである.」となります.
なぜ妊娠すると表虚になるのでしょうか?
それは,妊娠すると胎児に栄養を与えなければならなくなるので,
子宮に血が集まり体表つまり皮膚に血が少なくなってしまいます.
そこで体表に血が集まらなくなるので弱って,表虚になります.
表虚になると外界からの寒さに対抗できなくなり,冷え易くなります.
そのために皮膚が冷えて風邪を引きやすくなるのでしょう.
さらに表虚によって発散が悪くなるので,中に陽気がこもってしまいます.
その陽気が体表から出るところがなくなり,上部につきあげてつわりとなるのです.
そこで桂枝が入っていて表虚を治し発散を良くする桂枝湯を使うことになります.
つわりは全て桂枝湯で治すわけではありませんが初期のつわりにはよく使われます.
つわりがひどくお困りの方は一度ご相談ください.
ご予約の際には必ず「つわり」のご相談であることをお告げください.