伊藤晴夫著“あなたの腰痛はこれで治せる”という書籍に,おもしろいことが記載されていました.なお,氏は東京厚生年金病院の整形外科部長をされています.この書籍に,タバコとアルコールが腰痛を悪くすると記載されています.なんだか不思議に思いませんか?
今回は,特により影響の大きいタバコの腰痛に対する影響を考えてみたいと思います.タバコに含まれるニコチンは,血管を収縮させる作用を持っています.厳密に言うと,収縮させる作用だけではないのですが,血管を収縮させるため,血液の流れが悪くなると考えられますね.また,長い間タバコを吸う習慣を続けていると,動脈硬化などが起こりやすくなり,これも血液の流れが悪くなります.氏によれば,これらの要因がからみあって腰痛が悪化する可能性があるので,腰痛がある人は喫煙の習慣を考えるようにと述べています.
東洋医学的に考えると抹消の血行を悪くすればその部分を冷やすことになります.腰を冷やすと痛くなるという患者さんが時々おられますが,このような人は,特に,喫煙に気をつけたほうが良いと思います.そうは言っても,なかなかタバコを吸う習慣は,やめられないですよね.そんな方は,なるべく冷たい飲料の飲み過ぎを心がけ,お風呂にゆっくり入り,リラックスして血液の循環を良くしてください.ストレッチや柔軟体操等の軽い運動を,できるだけ実行してください.最近、流行の足のつぼマッサージも良いと思います.このようにして,悪くなった血液の流れを良くするわけです.
ところで,腰痛というと関節が注目されますが,それを囲んでいる筋肉のバランスが悪くなっておこる腰痛もあると思います.私は,東洋医学的に考えて,どこの経絡が弱って,どこの筋が固くなり,関節に負担をかけているかを見つけ出します.そして,その状態にあわせた適切な漢方薬を飲むことによって,腰痛がだんだん和らぎ最終的に治る可能性もあります.腰痛でお困りの方は,一度,ご相談ください