妊娠して後期になると腹が張ってくるという方が増えております.
なぜ腹が張るのでしょうか?
漢方の原典の傷寒雑病論に次のような条文があります.
「婦人懐妊六七月脈弦発熱其胎愈脹腹痛悪寒者少腹如扇所以然者子臓開故也」とあります.
その意味は「女性が妊娠して六,七ヶ月たって,脈が弓のつるのようにピ―ンと張って発熱し,その腹はいよいよ大きくなって,腹痛,悪寒のあるものは,下腹部が扇であおがれるように冷える.それは,子宮が冷えて開いているからである.」ということです.
子宮口が開いてきているので,早産になるかもしれないという方もやはり子宮が冷えていることが原因ということです.
妊娠中のトラブルの多くは子宮の冷えから来るように思われます.
それでは,どのようにして子宮の冷えを防ぐことが出来るのでしょうか?
子宮は東洋医学的に考えると腎に支配されていますので,腎を疲れさせたり,冷やすようなことも控える必要がありますね.
つまり,立ち仕事,こんをつめる仕事,重いものを持つ仕事,冷房にかかりすぎて冷やすこと,下半身を冷やす柑橘系の果物のとりすぎなどの養生をすることが必要でしょう.
とにかく早産になるかもしれないといわれてから,あわてるのではなく早めの養生が大切でしょう.
妊娠後期によく起こるトラブルには他に貧血があります.
その貧血も東洋医学では血虚または亡血といって漢方薬で補うことが可能です.
妊娠中のトラブルはやはり子宮に何らかの不足が生じたと考えたほうが良いと思われます.
急なトラブルが発生したときはそのトラブルの1,2日前ぐらいの生活の中に何か原因があることが多いです.
その原因が分かれば,次回からはそのことを注意することで危険を回避することが出来ます.
病は起こったとき,つまり出発点が非常に大切です.