妊婦さんのご相談の中で便秘の話は多いです。
今回は妊娠中の便秘について考えてみたいと思います。
西洋医学的に考えると弛緩性便秘と直腸性便秘に分けます。
弛緩性便秘はプロゲステロンの増加による腸管の運動性の低下によります。
直腸性便秘は妊娠子宮の増大による機械的圧迫により大腸での排泄遅延が起こり、
便の水分が普通以上に吸収されるために起こります。
便秘の原因として、ほかに神経性因子や不規則な食習慣なども関係します。
妊婦は便秘となる一方、栄養分の吸収は亢進していると考えられています。
イレウスも便秘と同様の理由によりますが、
妊娠に合併する場合は回復術後の癒着性イレウスが多くなります。
便秘の予防は規則正しい食習慣、繊維質の多い食物の摂取、便秘薬の投与などであります。
妊婦に起こりやすい合併症として、痔疾・脱肛があります。
妊婦は子宮の増大のため、下肢や骨盤内に静脈瘤が発生しやすく、
これに便秘傾向も加わって痔疾になりやすくなります。
特に直腸静脈瘤である内痔核や外痔核が多くなります。
予防としては便秘を防ぎ、アルコール・香辛料・コーヒーなどの刺激物を避けることです。
治療には、必要に応じて座薬・軟膏を用います。
(「周産期の生理学」 寺尾俊彦編 MCメディカル出版より引用)
東洋医学的に考えると妊婦の便秘には3つ考えられます。
① 胃腸の冷えと
②芯熱と
③消化器の労
の3つが原因と考えられます。
まず胃腸の冷えが原因の場合は胃腸を温める漢方薬(例えば大建中湯など)を考えます。
芯熱が原因の場合は、胃腸にこもって便の水分が不足して便が硬くなりでにくくなるのでしょう。
消化器の労が原因の場合は、疲れて腸の蠕動運動が弱くなり、排泄が困難になるのでしょう。
このときは消化器の働きを良くする漢方薬(例えば麻子仁丸など)をお飲みいただくことが一番でしょう。
このように妊娠中でも安心して便秘を治す漢方薬がございますので是非ご相談ください。